妖怪ウォッチを大成功させたクロスメディア戦略とは?

   

クロスメディア2014年、“もんげ~”大人気となったコンテンツといえば「妖怪ウォッチ」ですよね。
少子化、消費税増税などのネガティブ要因を吹き飛ばす空前の大ブームが起きました。
マーケティングに関わる者として「それはすべて妖怪のしわざ…」で終わってはいられません!「妖怪ウォッチ」のヒットの秘密を追ってみました。

この「妖怪ウォッチ」、元はゲームソフト開発会社のレベルファイブが2013年7月に発売したニンテンドー3DS用ゲームソフトです。人気に火が付いたのは2014年1月のTVアニメ開始以降。同時期にウォッチやメダルといった玩具の発売開始など、複数のメディア・企業によるコンテンツ展開の足並みが揃ってからは人気が急上昇しました。ゲームはミリオンヒット、メダルは争奪戦、12月にはゲーム新作発売に映画公開と勢いが続きます。

レベルファイブの日野社長インタビューなどを拝読すると、開発当初からこの複数メディア展開を「クロスメディア戦略」としてかなり入念に考えられていた経緯が伺えます。

ダイヤモンド・オンライン
『「妖怪ウォッチ」の仕掛け人が語るヒットの“極意”―日野晃博・レベルファイブ社長インタビュー』
http://diamond.jp/articles/-/56267

今回、権利を持つのはレベルファイブ、クロスメディア戦略に携わるパートナーは任天堂、電通、エイベックスなど9社とのこと。コンテンツビジネスに長けた企業による強力なチーム編成ですね。
ただ、タイアップ、メディアミックス…言い方は様々ですが、企業同士の協業はこれまでも行われています。「妖怪ウォッチ」のクロスメディア戦略の成功ポイントはどこにあるのでしょう?

クロスメディア戦略はやがて冷蔵庫もゲームにする!?

ここでまず、「妖怪ウォッチ」の戦略が世の中に浸透しているのかどうか、大規模なリサーチをかけることなく簡単に検証してみましょう。
検索エンジンシミュレーターSeeSを使い、2014年8月時点での「妖怪ウォッチ」というキーワードについて調べてみました。
妖怪ウォッチのビックデータ解析テキストマイニング機能で「妖怪ウォッチ」と関連性の強いキーワードを測ると、「テレビ→アニメ」「ゲーム」「メダル」が色濃くほぼ均等なボリュームで出現しています。
使用頻度の高い言葉は?次に、WEBサイトで多く使われるキーワードを順位別に調べると、「ゲーム」「メダル」「DS」「発売」「アニメ」が上位となり出現サイト数も僅差です。クロスメディア戦略が奏功している現状がキーワードの出現からも伺えます。

「妖怪ウォッチ」ほどのメジャー商品なら報道上の販売数量などから定量分析もできますが、たとえば数字情報の掴めない事象や、まだ確立されていない分野などでも、SeeSのビッグデータ解析を使えば市場の興味の方向性やボリューム感をざっくり調べ、予測につなげることができるんですよ。

さて、もともとクロスメディア戦略とは、売りたいモノの情報を複数の媒体(メディア)を駆使して伝達し相互作用をねらう、といった広告の手法という文脈で語られてきた表現です。
レベルファイブは、その概念を一歩深めています。モノでもありメディアでもあるゲームの特性を生かし、「妖怪ウォッチ」というゲームを開発の時点からクロスメディア化していったのです。
開発中のゲームに玩具の構想を取り込み、実際に玩具も開発していく。玩具に付属する情報がまたゲームにも使える。玩具もまた、モノでもありメディアでもあるという発想です。

玩具業界は、戦隊ヒーロー物などコンテンツとの共同開発経験が豊富ですから、このモノ-メディア相互乗り入れプロジェクトにすぐ乗れるわけですが、この”モノとメディアの乗り入れ発想”は、さまざまなメーカーにとっても新たな開発のヒントだといえそうです。自動車も家電も日用品もチャレンジできるわけです。
例えば中高生向けゲームの中に登場していた一人用冷蔵庫が実際に店頭発売される、そんな時代がやってくるかもしれませんね。

ただ、どんなに巧妙な商流を考えても、コンテンツ(内容)そのものがターゲットに響かなければ意味がありません。
後編では「妖怪ウォッチ」のコンテンツの強さの秘密に迫ります。
後編『妖怪ウォッチのマーケットイン発想とプロデュースの力とは?

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