クラウドファンディング市場の変化とマーケティングへの活用

   

クラウドファンディング市場の変化日本でも数年前から注目されているクラウドファンディングの仕組みですが、新しい概念だけに、話してみると人によってもイメージが違っていたりしませんか。
今回はクラウドファンディングについての近年の意識の変化を読み解いてみました。さらにマーケティング施策としての活用まで考えてみましょう。

クラウドファンディングへの関心は年々増加

クラウドファンディングは、インターネットを通じて不特定多数の人から財源の提供や協力を集める仕組みです。「リターン(見返り)」の形によって、3つの型に分類されています。

寄付型: リターンなし
購入型: 金銭以外の物品や権利をリターン
投資型: 金銭的リターンを想定

寄付ビジネスのモデル自体は古くから社会に存在していたのですが、2000年代以降、すべてをインターネット上で決済できる仕組みを備えたクラウドファンディングサイトが次々と生まれてきました。起案者・支援者の引き合わせ役としてのWeb上のプラットフォームの存在が、今のクラウドファンディング市場の基盤となっています。日本での本格的なサービス開始は2008年以降だそうです。

Googleトレンドでのクラウドファンディングの推移Googleトレンドでは、2011年頃から検索ボリュームが右肩上がりで増えている様子が確認できます。

この関心を裏付けるものとして、2012年から支援額も年々増加しているとのデータがあります。

visualizing.info『日本の主要クラウドファンディング 累計支援額 月次推移 (積み上げグラフ)』
http://visualizing.info/article/4255.html

まさにここ数年で、人々の関心が集まり、クラウドファンディング市場が拡大していることがわかりますね。
では、クラウドファンディングを検索している人々の関心の内容はどう変化しているのでしょうか?

2年間で「クラウドファンディング」を取り巻く話題はどう変化したのか

SeeSのテキストマイニング(*1)を使うと、マーケットトレンドの話題の経時変化を見ることができます。
「クラウドファンディング」に関する話題について、2013年のデータと2015年のデータを比較してみました。

*1 SeeSテキストマイニング
SeeSでは特定のキーワードで検索した際に表示される全てのWebページの文章情報から、関連度の高さに応じて相関図を表示します。 これにより膨大な文章情報(ビックデータ)から概要を把握する事や、マーケティングに必要なデータの抽出にご活用いただけます。

crowd2クリックして拡大
たった2年ですが、話題の移り変わりを読み取れるポイントがあります。
例えば、2013年にあったけれど2年後には消えてしまったキーワードとして、「政治」「ふるさと」といった言葉があげられます。
一方、2015年にだけ出現した話題として注目したいのが、「金銭」「審査」「グローバル」に関する話題です。

Googleトレンドでクラウドファンディングが検索されはじめたのは2011年と前述しました。この年は東日本大震災の年ですよね。日本社会全体、復興支援への意識が高かった時期です。そういったソーシャルマインドの傾向から、クラウドファンディングはもともとNPO支援、地方支援といった社会貢献や寄付感覚のイメージが強かったのではないかと思われます。
それが今(2015年)、「金銭→リターン/見返り」への意識も強まってきたようですね。購入型や投資型クラウドファンディングの拡大と呼応して、市場も出資者もビジネスマインドが強くなってきた傾向が読み取れます。

またクラウドファンディングには、支援金を悪用される可能性があるかも…といった不安感もありました。そのネガティブ要因を払拭するための「審査」が話題の中心として上がってきました。
これは、ユーザーも審査の重要性に注目しているということですし、引き合わせ役のWebサイトが審査で信用度を高めているということでもあります。プロジェクトに対してきちんとした審査を実施できる実力のあるプラットフォームの成長・確立が、市場成長に大きな影響を及ぼしてきたようです。

なお「グローバル」の出現は、企業名と、海外の市場規模と日本の状況を語るサイトが影響しているようです。これも、ビジネスとしてクラウドファンディングを捉える傾向の強さのひとつといえそうですね。

2013年と2015年、Web上の話題の変化を読み取るだけでも、この2年でクラウドファンディングにおけるビジネス的な関心が高まってきた気運が感じられます。
(裏付け情報として、2015年の金融商品取引法の改正で投資型クラウドファンディング市場がさらに活性化すると言われております。)

マーケティングの観点でクラウドファンディングを考えてみよう

マーケティング発想でクラウドファンディングを考えるクラウドファンディング市場は数量的に成長、質的にはビジネスマインド寄りの話題が増えてきたことが見えてきました。
特に購入型といったリターンありきのスタイルも成長している現状、この仕組みをマーケティング施策の一つとして活用することも検討できそうです。なぜなら、支援・出資とはユーザーの声ともいえるからです。

例えば、これまで意識調査などをされてきた企業で、アンケート上は「シンプル、白」が人気となったのに、実際はデザイン性の高い黒の商品が一番の売れ筋だった…といったような経験を持つ方もおられるのではないでしょうか。
クラウドファンディングは、意識調査よりもっと踏み込んだ、人々の「その商品・サービスが手に入るなら応援したい、そのプロジェクトなら投資したい」という本音を金銭という形でダイレクトに汲み取れる仕組みとして注目できます。
「価値共創」や「自己実現マーケティング」といった新しいマーケティングの潮流の話を聞きながら、具体的には何をすればいいんだ?と考えていた方には、出資者が自らプロジェクトを応援し、育てるというマインドが基盤にあるクラウドファンディングの活用が、ひとつの興味深い施策になるのではないでしょうか。

量産化に踏み切るには不安な開発商品のテストマーケティングも可能になります。クラウドファンディングでの露出を、PR、ファン作りの場として活用することも考えられます。
今回は具体策まで言及しませんが、関心の高い方は既存のプロジェクトを参考にして、自社で応用できるパターンを検討してみるとよいかもしれません。

まとめ

  1. クラウドファンディングへの関心・支援額は年々増加
  2. 「金銭」「審査」「グローバル」など、ビジネス寄りの話題が出現してきた
  3. テストマーケティングやファン作りなどマーケティング施策への活用も考えてみよう

今回はクラウドファンディングの市場拡大と質的変化を捉えてみました。
現在のところ、一般的なWebマーケティングといえば、集客中心のプロモーション面の施策となっておりますが、本来マーケティングとは市場調査・商品開発といった上流工程から大きな戦略を考えていくものです。
このクラウドファンディングのような仕組み、考え方が浸透していく流れを見ていますと、Webマーケティングにも新しい潮流が生まれてくるかもしれませんね。

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