「アナと雪の女王」に学ぶディズニーのキャラクタービジネス

   

ディズニーのキャラクタービジネス2014年上半期の映画興行ランキング1位「アナと雪の女王」。9月の時点で興行収入250億円を突破という記録的な大ヒットで、DVDや関連商品の売上も好調です。早々と続編の情報も流れていますね。

「白雪姫(1937年)」以来、プリンセスの登場する著名な物語を次々とアニメ映画化してきたディズニー。
実は21世紀に入り、総合的なキャラクタービジネスを意識したディズニーは、ひとつのマーケティング戦略を仕掛けました。これまでの作品に出てきたプリンセスたちをグルーピングして、「ディズニープリンセス」という一つのカテゴリを作り出したのです。最近のアイドルグループと同じ「セット売り」ですね。
半世紀以上前のキャラクターも、単体では多少人気の低いキャラクターもうまく活用できるとあって、この「セット売り」戦略は大成功しました。キャラクタービジネスとしての売上はミッキーマウス、くまのプーさんに次いで高いようです。

現在、日本のディズニー公式サイトによると「ディズニープリンセス」所属は7名。
http://character.disney.co.jp/ (10月29日現在は運営形態を変更しております。)

そこへ、「アナと雪の女王」の投入です。新参ながら大きな成果を上げている「アナと雪の女王」、ダブルヒロインのエルサとアナ姉妹は、今後のキャララクタービジネス戦略上どのような扱いになるのでしょうか?

ディズニープリンセスのキャラクター別売上ランキング

プリンセスたちがどう評価されているのか、ランキングを見てみましょう。
まず、海外のデータになりますが、米オークションサイトeBayで最も人気のある(最も多く稼いだ)ディズニープリンセスのランキングによると、第1位は「アナと雪の女王」のエルサ。約3.5億円を売り上げているそうです。
http://eiga.com/news/20140513/4/

まさに「アナ雪」旋風ですね。
しかし、瞬発力も大事ですが、キャラクタービジネスは長期戦でもあります。ユーザーが感じているプリンセスとしての存在感はどうなのでしょうか。
そこで、弊社の検索エンジンシミュレートシステム「SeeS」を使い、2014年9月に「ディズニー プリンセス」というキーワードを解析してみました。

Webサイト上で話題にしているWEBサイト数の順位から、キャラクターの名前をピックアップしてランキングしたところ・・・
ディズニープリンセスのWEB人気を解析第1位 シンデレラ(2位)
第2位 アリエル(7位のアリ+6位のエル)
第3位 ベル(10位)
第4位 アナ(12位)
第5位 ラプンツェル(13位)
第6位 白雪姫(18位)
第7位 オーロラ(27位)
第8位 エルサ(48位)
第9位 ジャスミン(51位)
プリンセスカテゴリだとエルサの話題は少ない稼ぎ頭のはずのエルサが、かなり低い順位ですね! エルサはどうやら、「ディズニー プリンセス」とカテゴライズすると、まだあまり出現してこない存在なのです。 また、タイトルに名前のあるアナとは違い、エルサの場合は「雪(29位)」の「女王(34位)」という呼称もあり、文字をベースとした検索結果上だと不利になってしまいます。 「シンデレラ」のようにタイトルと名前が合致しているキャラクターの方がキーワード評価の際には有利なのです。

そんなWeb特性も味方につけて、「シンデレラ」が最強のプリンセスという結果になりました。「プリンセス」というグループのセンターにふさわしい優雅なキャラクターと「シンデレラストーリー」という表現で伝わる物語の普遍性、この安定感が鍵となっていそうです。
上記の米オークションサイトeBayのランキングでも、第2位はシンデレラ。映画から半世紀の時を超えてなおプリンセス界に君臨するシンデレラの底力に震撼します。

シンデレラ、アリエルが牽引するプリンセスカテゴリ

シンデレラの他には、タイトルと名前の関係性から考えると「リトル(39位)」・「マーメイド(70位)」というキーワードも上がっているアリエルの健闘が目立ちます。
話題になっているキーワードの関連性を見るテキストマイニング機能でも、アリ→エル、リトル→マーメイドなどが大きなボリュームを持っていますので、注目のほどがうかがえます。
リトルマーメイドの注目度(ちなみに「リトルマーメイド 感想」でキーワード解析してみたところ、劇団四季のミュージカル版の感想サイトがかなりあがって来ました。この演劇化といったマルチメディア展開は、Web上で話題に上がりやすいポイントのひとつですね。)

「リトル・マーメイド(1989年)」のアリエルは、リスクを承知で人魚から人間に変身し、自分の恋を貫く、前向きな性格です。
クラシックなヒロインである「シンデレラ(1949年)」も、変身して苦境からの玉の輿チャンスを狙うという点を見れば、上品に隠してはいますがけっこうしたたかで前向きな性格といえますよね。
「変身して王子様との恋を叶える」プリンセス像が見えてきます。シンデレラやアリエルを牽引役として、プリンセスたちはカテゴリ全体で女性の夢に応え続けてきたのです。

「アナと雪の女王」のキャラクター造型のうまさとは?

一方、「アナと雪の女王」のエルサは、変身して恋の成就や幸せを求める女性ではありません。お相手となる王子様は存在しませんし、そもそもエルサは当初は悪役の設定だったそうです。

THE PAGE「悪役だったエルサを変えた『Let It Go』アナと雪の女王』に隠された真実」
http://thepage.jp/detail/20140424-00000008-wordleaf

有名なエルサの歌「Let it Go」は、「ありのままの自分になる」「自分らしく生きる」意思を歌いあげています。
王国の運営という仕事を、自分を活かして取り組んでいく…エルサは、まさに現代社会に生きる自立した強い女性を意識したキャラクターです。妹のアナも、従来型の王子と王女のロマンスを否定する立ち位置のキャラですよね。

ディズニーは、既存のプリンセス像から逸脱していそうなこの姉妹をあえて「プリンセス」として提案しました。

「SeeS」で「ディズニープリンセス」というキーワードからユーザーが感覚的に捉えるキーワードを抽出してみると、母数は少ないのですが「かわいい」「面白い」「美しい」などのあとに「強い(8位)」という言葉が上がってきています。

プリンセス像に「強さ」「強さ」が、プリンセスの魅力として意識されてきているのです。 現実に、女性たちは夢見る乙女ではいられなくなりました。多くの女性たちがあらゆる分野で社会進出するようになり、壁や悩みにぶち当たっています。 そんな時代の変化を敏感に感じたディズニーが生み出したのが「アナと雪の女王」だったのですね。

共起語リストでは、「アナ」「雪」「女王」が既存のプリンセスたちの名前よりも重要度レベルが高く評価されました。検索エンジン上でも、「ディズニープリンセス」というキーワードの中で「アナと雪の女王」が徐々に存在感を増してきていると考えられます。

共起語でもアナ雪の影響は強い自分らしさを追求し、王子様を待たない、強いヒロイン。それでいて、生まれながらの王女という設定、可憐な容姿、華やかな衣装など、アナとエルサの造型はプリンセスの概念に何とかとどまっています。
これがディズニーの塩梅のうまさでした。
現実も知っているし、夢も見たい女性たちのニーズに応えた、“領域のエッジぎりぎりのプリンセス”という位置づけが、「アナと雪の女王」の大成功を呼んだのです。
当面は単独売りができる上、将来人気が落ち始めてからのセット売りも可能な絶妙のポジショニングです。
「アナと雪の女王」は、ディズニーが新時代のプリンセスファンタジーを模索した上で、短期・長期のマーケティングを見据えた、賢い新規商材提案だっだといえそうですね。

まとめ:カテゴリーの拡大でビジネスチャンスも広げよう

  1. 「アナと雪の女王」では既存のプリンセスとは違い新しい女性キャラクター像を打ち出した
  2. WEB上の「ディズニープリンセス」は「シンデレラ」「アリエル」が強く、プリンセスイメージの牽引役
  3. 定番と新機軸は短期・長期どちらにも活かせるビジネスチャンスの拡大

今回の事例は、商品やコンテンツ、キャラクターの開発とカテゴライズといった部分で応用できる点がいろいろあります。開発時点で、カテゴリの中でどこまで冒険するのか、新規カテゴリを作るのか、商材のポジショニングをどこに置くか…このような施策を検討するには、やはりユーザーの意識と呼応しながらすすめていくことが重要です。
「SeeS」は、さまざまなキーワード解析で、ユーザーの意識や印象調査を可能にしていくツールです。御社のWebマーケティングを支援していきます!

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