コクってなんだろう?日本語の曖昧さと便利さ

      2016/03/18

コクってなんだろう?先日ひょんな事から「コク」について調べる機会がありました。
飲食の分野では馴染み深い表現で、コーヒーやビールなどの飲み物やカレーなどの煮込み料理を説明する際によく耳にする言葉ですよね。
実際ビールなどのCMなどで「コクがあってキレのある飲みごたえ!」のように使われ、私たちも違和感なく受け入れる事ができます。
では「コク」について説明してみてくださいと言われるとどうでしょう。
ちょっと言葉に困ってしまいませんか。
今日は普段のSeeSブログとは趣向を変えて、「コク」にまつわる日本語の妙について迫ってみたいと思います。

辞書にて定義される「コク」とは

辞書を調べてみると次のように記されていました。

《形容詞「こ(濃)し」の連用形「こく」の名詞化か。また、漢語「酷」からか》
1 濃厚なうまみ。「―のある酒」
2 内容に深い趣があること。「話に―がない」

要は、味に厚みがあるという事ですね。単純に濃いという事ではなく、味の重なりや複雑さの事を「コク」と言うようです。
実際に私と同じように「コク」について疑問を持っていた方が他にもいたようで、こちらの記事でも触れられています。

@DIME『【検証リポート】説明できる?ビールの「コク」と「キレ」』
http://dime.jp/genre/134917/

先程のように辞書を調べればそれなりに納得はするものの、普段私たちは正しく「コク」という言葉を使い、また受け取っているでしょうか。
「コク」は甘さや辛さといった明確な指標が無いぶん、本来言葉自体が非常に曖昧な言葉なのです。
それにも関わらずこの曖昧な言葉を多用するのは何故でしょうか。

相対的な価値の低下にはならないだろうか

私が今回の記事を書くきっかけになったのが、Wikipediaの「コーヒー」の項目を参照した時のことです。
まずはこちらをご覧ください。

ブルーマウンテン(ジャマイカ)
卓越した香気を持ち、調和の取れた味わい、軽い口当りと滑らかな咽越しが特徴。
コナ(ハワイ島)
非常に強い酸味とコク・風味を持つ。
キリマンジャロ(タンザニア)
強い酸味とコクが特長。
モカ(イエメン、エチオピア)
香気に優れ独特の酸味を持ち、甘みとコクが加わる。
グアテマラ
酸味とコクに優れ、香気も良好で全体的に華やかさとキレのいい後味が特徴。
ブラジル
香りの甘さが軽快で酸味・コク、苦みともに軽くバランスが良い。
コロンビア
酸味と甘味が重厚だが突出せずバランスが良い。
マンデリン(インドネシア)
スマトラ島産。苦味とコクを中心とした味わい、酸味はなく独特な後味がある。
トラジャ(インドネシア)
スラウェシ島産。苦みが中心の味で、非常に濃厚なコクを持つ。
ジャワコーヒー(インドネシア)
丸くマイルドな味。

※長いので、コーヒーの種類と味を紹介している項目を一部抜粋しています。
全文はこちら
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%92%E3%83%BC

コクばっかりですね(笑)
これを見ていると、コーヒー=コクとなってしまいそうです。
これでは味があると言っているようなものなのかもしれません。
多用しすぎて陳腐化されているように思えてしまいます。

日本語の便利さに甘え過ぎてはいけない

先程、なぜこの曖昧な言葉を多用するのかと問題提起しましたが、このコーヒーの例に限らず日本では味を表現する時に、この「コク」の持つ曖昧さがかえって都合が良いのでしょう。
本来口で説明する事が難しい、感覚的な味覚表現を「コク」というさらに曖昧な言葉で表現しようとするのは、日本人特有の奥ゆかしさなのかもしれません。
ただその一方で便利すぎる言葉ゆえ、本来伝えなければならなかった物を伝えられているのかと言うといささか疑問が残ります。

今日は普段のSeeSブログとはだいぶ趣向を変えて即興的に書いてしまいましたが、ちょっとした言葉の選択ひとつで、プロモーションが劇的に変化する事もありますので、たまにはこういった事を考えるのも良い機会なのかもしれません。

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