コンテンツマーケティングを始める前に変化した消費者行動を理解しよう

   

第2回 コンテンツマーケティング講座コンテンツマーケティングが近年になり注目される背景には2000年代以降、特に後半になって加速した「デジタル・イノベーション」の大きな流れがあります。
イノベーションとは、革新、刷新という意味です。例えば手書きの出納帳がエクセルに変わったのはコンピュータライゼーション(道具の代替・改善)であり、仕事自体が変わるわけではありません。
それに対し、テクノロジーの進化によって人間の意識や生活、行動に大きな変化が起きる状態が「イノベーション」です。
今はまさに社会や産業構造まで変革しつつある「デジタル・イノベーション」の時代です。その渦中に、消費者の意識や行動はどのように変革したのでしょうか。

消費者の心理プロセスはAIDMAモデルからAISASモデルへ

消費者の心理プロセスの説明として有名なモデルがAIDMAです。

AIDMAAIDMAは1920年代にアメリカのサミュエル・ローランド・ホールによって提唱され、モノやサービスを購入する時の消費者の気持ちの過程を説明するのに使われてきました。
第1回に合わせてリンゴの例をあげていますが、自動車など、消費者が購入の検討に時間をかける商材ほど有効なモデルとされてきました。

しかし、インターネットの急速な普及によって、この心理プロセスに大きな変化が起きたのです。
電通が提唱(2005年に商標登録)したAISASモデルが、ネット時代の心理プロセスを表すものとして有名ですので見てみましょう。

AISAS「検索」と「共有(シェア)」が新しいプロセスとして挙げられています。
注目したいのはこの2つのSがともにインターネットの利用を前提にしている点です。インターネットのインフラの整備、特にスマホなどモバイル端末の普及によって、消費者はいつでもどこでも思い立ったら「検索」「共有」することが当たり前の時代になりました。デジタル・イノベーションが人々の購入や決断に至るプロセスを変えたのです。
このような消費者意識の大きな変革に対応していくため、作り手側も「ネット上で検索」「ネット上で共有」されるものの発信に注力しはじめた…これが、コンテンツマーケティングに注目が集まる大きな理由なのです。

さらにソーシャルメディアを重視した、SIPSモデル

ところで、AIDMAとAISAS、どちらもA Attention(注意)で始まっていますよね。
消費者の心理プロセスはもともと広告戦略の裏付けとして提唱されてきました。広告代理店は常にマス・リアル・ネットの3つの次元でプロモーションを考えていますから、時代が変わってもマス広告によるAttention(注意)の重要性を守りたいという本音も感じられます。
ところが、AISASを提唱した電通から、2011年にAのないモデルが発表されています。ソーシャルメディア時代の新しい生活者消費行動モデル概念として提案された、SIPSです。

SIPSこのモデルは、ソーシャルメディア上でのつながりを重視し、「共感」をキーワードにしています。広告も企業側からの一方的な発信ではなく、「発信元への共感」「発信情報への共感」を、少しづつソーシャルメディアで拡散してもらえるかが鍵になるという視点です。
SNSコミュニケーションをかなり重要視した場合のモデルと言えますが、広告代理店がこれほどまでネット、特にソーシャルメディアの影響力を意識している点が興味深いですね。
(なお電通でも、SIPSはAISASに取って代わるモデルではないと言っていますので、ケース次第で使い分けていくつもりのようです。)
このSIPSモデルにおいても、まず共感される価値を築いていくことが大切なので、コンテンツマーケティングの発想と相通じますね。

Searchはどうなる?今後の展望

さて最新のSHIPSモデルでは、Attention(注意)はもちろん、Search(検索)さえなくなってしまいました。ソーシャルメディアの発展で、検索の重要度は下がってしまうのでしょうか?
そうではありません。人は共感する相手を探すためにも、サイトの信頼性を確認するためにも、検索します。SHIPSモデルではSympathize (共感) と Identify (確認)の中に、すでに検索という行動も取り込まれています。
検索が日常化し、特筆するような行動ではなくなってきたのです。さらに音声検索機能などに見られるとおり、検索スキルがなくても検索しやすい方向に技術はどんどん進化しています。
インターネット上の情報が膨大化し、人々が情報を求める限り、検索自体は必要とされ続けるでしょう。作り手側から見れば、コンテンツマーケティングに取り組む場合、検索されること=コンテンツを発見されやすく作る(ユーザーファインダビリティ―)視点は今後も重要です。

デジタル・イノベーションを背景に、今、コンテンツマーケティングが注目される理由を消費者の意識変化から考えてみました。ネット前提での検索・共有といった現代の消費者行動に最適化したアプローチ方法のひとつがコンテンツマーケティングなんですね。

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