ラグビーに注目!スポーツに学ぶマーケティング

      2016/03/18

ラグビーとスポーツ
スポーツの秋ですね。サッカー、テニス、野球…さまざまな話題が盛り上がっています。
その中で2015年秋、大きく注目を集めたスポーツといえば「ラグビー」ではないでしょうか?
今回はラグビーについてこの秋の人気状況を調査・分析してみました。
調べるだけでなく、さまざまな分野で応用できるマーケティングのヒントを学んでみましょう。

「世界」と戦う姿が、ファン層を拡大する

ラグビー、ついにバズった!

まずGoogleトレンドでラグビーの検索ボリュームを調べてみました。

ラグビー Googleトレンド

人気が急上昇したのがよくわかります。
ラグビー日本代表が2015年ラグビーワールドカップ・イングランド大会において、強豪の南アフリカ代表に勝利した快挙がこの人気爆発のきっかけです。
惜しくも1次リーグ突破はなりませんでしたが、サモア、米国にも勝利。歴史的な快進撃で、世間の関心が一気に高まりました。

かつて1980~90年代、ラグビーは高校・大学・社会人スポーツとして人気がありました。高校ラグビー部の実話を元にした「スクール☆ウォーズ」(1984年)など、テレビドラマにもよく登場するスポーツでしたが、その後人気が低迷していました。

2009年に、2019年のラグビーワールドカップ日本開催が決定し、その後、日本代表チームの強化や競技人口・ファン人口を増やすための戦略が着々と進められていたようです。
検索ボリュームを見ると、選手や協会組織等による水面下の努力が実り、ついに今回のワールドカップ大金星で人気の方も「バズ」ったと言えます。

サッカーの検索ボリュームと比較してみよう

ラグビー サッカー Googleトレンド マル

1993年からJリーグ(プロリーグ)が創設されたサッカーは、当然ながらラグビーよりもよく検索されています。
そんなサッカーもところどころ検索量が大きく跳ねあがるポイントがあります。
これはサッカーファンの方ならすぐ理由がわかりますね。2006年、2010年、2014年といえばFIFAワールドカップの年です。近年はアジアカップやW杯予選も注目され、2013年のW杯出場決定ニュースも検索量が突出しています。
また女子サッカー・なでしこジャパンの活躍(2011年のドイツワールドカップ優勝、2012年のロンドン五輪金メダル)も検索ボリューム上に現れています。

こうやって見ると、やはり「世界」に臨むと、報道量も増えますし、これまでコアなファンでなかった一般層の興味も引き込むようです。ファンでなかった人は、知識がない分検索して情報を得ようとする意欲も高いので、一気に検索量が増えるのですね。
特に今回のラグビー日本代表のように、実力差のある相手を倒すといった「小よく大を制す」ストーリー、ドラマチックな勝利は、多くの人の関心を惹きつけます。
ラグビーがサッカーよりも検索ボリュームが大きくなったのはこの10年で初めてのことです!2019年の日本大会に向けて、価値ある上昇といえるのではないでしょうか。

エディージャパンを支えた草の根マーケティング

さて一気にファンが増えた現在、ラグビーについてはWeb上でどんな話題が語られているのでしょうか?
検索エンジンシミュレーターSeeSで、キーワード「ラグビー」を調べてみました。データ元は251件のWebサイト情報となります。

キーワード分類グラフ

ラグビー キーワード分類グラフ

ラグビーというキーワードに関連性の高いWebサイトの主なジャンルを分類します。

10月13日現在、ニュース(38.7%)とソーシャル(9.7%)だけで話題の50%近くを占めています。ビッグキーワードですので「ラグビーとは」といった辞書的な分野(9.7%)もありますが、今は時事的な話題、旬の言葉として注目されている状況がわかりますね。

テキストマイニング ネットワーク図

次に、SeeSテキストマイニング(*1)によるネットワーク図を見てみましょう。

*1 SeeSテキストマイニング
SeeSでは特定のキーワードで検索した際に表示される全てのWebページの文章情報から、関連度の高さに応じて相関図を表示します。 これにより膨大な文章情報(ビッグデータ)から概要を把握する事や、マーケティングに必要なデータの抽出にご活用いただけます。

ラグビー テキストマイニング エディー 修正

想像以上に、「エディー・ジョーンズヘッドコーチ」に関連する話題が強く出現していました!
2011年のワールドカップ後、エディー・ジャパンとして今日まで日本代表を率いてきた彼の足跡や発言、また退任発表の情報などが中心になっています。
「エディー→残念」は、退任が残念、一次リーグ敗退が残念、といった複数の意味で使われています。「残念」という感情を表す言葉が出現していることで、ラグビーに対する熱い感情が話題になっていることがわかります。

人名では他にリーチ・マイケル主将が出現しています。
何かのチームが勝利や成功を収めた時、人は「チームを率いたリーダー」を含む話題に注目するという傾向が裏付けられるデータですね。

一方、ラグビーというキーワードはビッグキーワードですので、日本代表だけでなく様々なラグビークラブのWebサイトや試合情報なども話題になっています。
その中で、比較的大きかったのが「小学生」に関連する話題です。

ラグビー テキストマイニング 小学生
「小学生→タグラグビー」とありますが、「タグラグビー」とはラグビーからタックルなどの接触プレーをなくし、低年齢でも安全に楽しむことのできるボールゲームです。さらに、「ミニ→ラグビー」という、子どもの年代に合わせたラグビーのゲーム方法も話題に上がっています。

ラグビー テキストマイニング ミニラグビー

ラグビーはなかなか接する機会も少なく(最近はドラマもないですし)、ルールにもなじみがありません。でも水面下では、幼い頃から段階的にラグビーに触れてもらうための草の根的な普及活動が続けられていたことがわかります。
今回の日本代表の試合を見て、ラグビーに関心を持つ小学生がさらに増えるのではないでしょうか。話題の大きさからも、2019年に向けての次世代の成長やファンの裾野の広がりが期待できそうです。

また「交流」に関連する話題、さまざまな地名や試合名の話題もあり、学校や地域に根ざしたラグビーの活動が示されています。
「交流→再開」は、ラグビーユニオンとラグビーリーグという対立していたラグビーの組織が交流を再開…という経緯に関わる話題でした。諸々複雑だった世界の状況から、ワールドカップの開催、人的交流などオープン化されてきたラグビーに対する関心の現れとも言えます。

ラグビー テキストマイニング 交流

頂点のエディー・ジャパンに関する話題の大きさの一方で、「小学生」「交流」といった、草の根的なキーワードも目立つのが「ラグビー」のネットワーク図の特長でした。
トップのレベルアップを図りながら、初心者向けに段階的なルールを提案したり、地道な活動を継続し、共感を拡げ、時にバズマーケティングを起こしながらファン層を拡大していく…ネットワーク図から読み取れるラグビーの普及プロセスは、コンテンツマーケティングの考え方とも共通しているようです。

五郎丸選手は名前とポーズでラグビーのアイコンに!

大ボリューム共起語200

キーワード「ラグビー」に関連の高い共起語のリストも上位を抜粋して見てみましょう。

ラグビー 共起語

ネットワーク図にはリーチ・マイケル主将も出現していたのですが、共起語の方でトップに出現した人名は「五郎丸」でした。今回のワールドカップで日本代表の牽引役だった五郎丸歩選手の名前です。
検索エンジンの視点でも、今、ラグビーというキーワードに一番関連する人物は五郎丸選手と認識されているようです。
「五郎丸」という名字、試合での活躍、さらにキック前の「五郎丸ポーズ」も加わって、今回の日本代表の覚えやすいアイコンとして注目の選手であったことがデータから裏付けられます。

もちろん五郎丸選手はマーケティング的に名前を付けたわけではありませんが、「五郎丸」という非常に珍しく覚えやすい名前、これがラグビー人気にプラスに働いたことは間違いありません。
SNSの普及で、五郎丸選手の名前や五郎丸ポーズのようなアイコン=キャッチーな名前と画像や短い動画で伝えられるコンパクトな情報は、これまで以上にファン獲得のポイントになりそうです。

関連して思い起こされるのが、野球のイチロー選手です。
本名は鈴木一朗という平凡な名前ですが、1994年、当時オリックスの仰木彬監督(諸説あり)が選手登録名を「イチロー」としてから、知名度も上がり成績面でも大ブレークしました。(ちなみにその時佐藤和宏選手も「パンチ佐藤」で登録され、人気者になりました。)
ファーストネームやアダ名を使い、親しみやすい選手登録名にして注目を集めるというのは、当時斬新な発想でした。仕掛け役の仰木監督やチームスタッフのマーケティングセンスを感じますね。

ファンが固定化して広がらない、内容が難解…といった問題で普及できないスポーツやビジネスの案件は、このように誰もが覚えやすいアイコンを仕掛ける、ファンの間で自然発生的に生まれたアダ名や技の呼び名などを活用していく方法も検討できそうですね。

まとめ

  1. 「世界にチャレンジ」「小よく大を制す」姿勢は、人を惹きつける
  2. 初心者、次世代のファンを段階的に育てる草の根マーケティングも重要
  3. みんなが覚えやすいアイコンはファン層の拡大につながる

今回はラグビーを中心に、スポーツからビジネス、マーケティングに活用できるヒントを学んでみました。
特にコンテンツマーケティングとスポーツやイベントの普及活動には、ファンを育てるという意味でいろいろな共通点があります。「チャレンジする姿勢」「段階的なわかりやすさ」「キャッチーな覚えやすさ」は、どんな企画提案にでも応用できそうなポイントですね。ぜひ活用してみてください。

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